発酵コラム 19
梅雨と発酵
ベタベタ不快な季節も
発酵にはちょうどいいかも?
ジメジメと蒸し暑い、ちょっとうんざりする季節の梅雨。
髪も肌もべたべたとして気持ち悪く、エアコンの稼働が始まるときでもあります。
湿度が高いと、カビが生えやすくなり、食べ物も腐敗しやすくなって今までより常温での長期保存が難しくなってきます。
いやーな湿気ではありますが、一方で発酵商品を作るのには意外と適していたりします。
一般的なチーズの発酵や熟成には、75%から90%の高い相対湿度が望ましく、日本の梅雨はぴったり!…と思うところですが、チーズの熟成には低温多湿が重要なので、地下や洞窟などが適しています。
だから日本でも北海道のような地域で作られることが多いのかもしれませんね。
チーズをご自宅で作ることはなかなかないでしょうが、ご自宅でできる梅雨時期にぴったりの発酵食品もありますよ。
それは、パンです。
パンの酵母も湿度が高いと元気に働き、パンの乾燥も防いでくれるため5~6月はパン作りにおすすめの時期。
7月以降、あまりに気温が高いと過発酵となりやすいので、注意が必要になってきます。
長雨でどこにも行けないときは、おうちでパンづくりをして焼きたてを楽しむのもいいですね。
反対に、冬のパン作りは乾燥が大敵。
発酵のとの違いが分かりにくいのが「熟成」ですね。
発酵は、麹菌などの微生物が働いて新しい成分が生まれることをいいます。
熟成は、自身が持っている酵素の働きでアミノ酸などが増え、風味が増します。
チーズなど、発酵のあとに熟成させるものも多いですが、熟成肉などは、お肉の持つ酵素がたんぱく質を分解し、うまみと風味をもたらします。
こちらのコラムで紹介した紅茶も酵素発酵なので、熟成と言えるのかもしれません。
しかし、特に熟成段階のどこかで微生物の影響を受けているかなど厳密にはわかりづらく、はっきりとした線引きは難しいと言われています。
発酵も熟成も、腐敗と紙一重なのでしっかりと温度や湿度を管理し見極める必要があります。
梅雨時期は特に「腸管出血性大腸菌」や「カンピロバクター」などの細菌も活発に動き出す頃です。
生肉を避け、常温での食品の保存には十分気を付けましょう。
パンも、完成したら食べない分は冷凍保存が安心ですよ!